mielikkiのあたまんなか

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せんでもいいこと(しなくていいこと)

とある昼下がり。

ヒマをもてあましたわたしは、手縫いでチクチク仕事をしていた。

白いシンプルなタオルのフチに、端切れをチクチク縫い付ける。

そんな作業をしながらふと、幼い頃のことを思い出した。

 

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小さい頃のわたしは、とにかく好奇心旺盛な子供だった。

新しもん好きの父が買ってくる、短波ラジオ、ビデオデッキにカラーテレビ。

昭和50年代はあらゆるものが日進月歩で、白黒だった私の日常に少しずつ彩りが加わり、記憶のふちが色濃くなった時代。

 

家に何か新しいものが導入されると、触りたくて居てもたってもいられなくなり、

「触るべからず」と言われれば言われるほど、おさわりしたくなるのだ。

 

TV番組がもう一度見られるというビデオデッキの仕組みが謎で、

父の居ぬ間に見よう見まねで録画ボタンをガチャガチャいじっていた。

 

SONYビデオのβテープはそりゃぁもう高価で、1本何千円もするから1・2本買うのが関の山。

その貴重なβテープには、父の大好きな落語やザ・ピーナッツの歌謡番組が録画してあった。

 

二度と見返すことができなかったあのCMが、再び画面に現れた時の衝撃に私はすっかり魅了され、私の悪事はしばらく続いた。

 

そしてある日、父が憂いを含んだ瞳で鼻息荒く私に問うた。

「おまえ…ビデオかまったな(いじったな)?」

 

どうやらザ・ピーナッツの歌唱の一番よいシーンに、てんで関係のないカレーのCMが録画されていたようだった。

素直に悪事を認めると、父は吐き捨てるように言った。

「せんでもいいことっ!!」

 

 

「せんでもいいこと」という言葉には、“まったく頼んでもいないのに勝手なことをして…”という、怒りの心情が込められている。

 

今こうしてタオルに端切れを縫い付ける作業は、誰に頼まれたわけじゃないし、やって得することは何もない“せんでもいいこと”。

でも誰かが顔を拭いた時に、白タオルの端にあるかわいい端切れを見て、

( *´艸`)ふふふ

って笑ってくれたらなんだかうれしい。

こんなちいさなことが、悲しい気持ちやさみしい気持ちを和ませてくれるのなら、

「せんでもいいこと」もまんざら悪いことでもないなぁと思うのである。

 

 

 

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