大人をガンバル
お世話になっている知人のお父さんが亡くなられ、ご葬儀に行くことにした。
…って昨夜まではふつうに思っていただんだけど、
公の場に出るのはすっかりご無沙汰だったせいか、時間が迫って来るにつれ、
心臓がバクバクしてきた。
…お世話になったけどご葬儀まで行くのはアレかな~?だの、
知らない人ばっかりでキガオモイナァ~だの。
口に出しちゃいけないような子供っぽい言い訳が頭の中をぐるぐると回る。
刻々と迫る時間に、「エイヤッ!!」っと喝を入れて礼服に袖を通す。
礼服の効果は偉大なもので、気持ちがビシッとして大人モードのスイッチがONになった。
お世話になった方が祭壇の向こうから微笑みかけているのを見て、
「あぁ、やっぱりちゃんと来てよかった…」と、
そんなこと微塵も思っていませんですよ的な顔をしながらホッと胸をなでおろした。
年を重ねるごとにどんな振る舞いをすればいいのかなんて、誰も教えてくれない。
とんちんかんなことをしてしまう大人だっている。
人柄や精神年齢は様々だけど、礼服に身を包めば、どこに出しても恥ずかしくないような「大人」に仕上げてくれる。
大人だって「大人の仮面」をかぶって、一生懸命大人のフリをしているのだ。
家に着いてお清めをし、大人の鎧をそっと脱いで、
私はいつものおちゃらけた私に戻った。